GST-01 はじめに
2016.01.04
GST
飲食店や小売業の帳簿をレビューしていると、GSTの誤りが見受けられます。
よくあるのは、比較的新しい事業者で課税事業者の登録をしていないのにGSTを請求していることです。
もったいないと思うのは、事業開始時に課税事業者の任意登録をし、2年以上経過しても、見直しをせずにずっと課税事業者となっている場合で、結果として損をしていることです。
事業者にとっては身近な税金であるGST。もっと知ってほしいと思ったので、今回から数回に渡ってGSTについて説明したいと思います。
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GST(Goods and Services Tax)は付加価値税(Value Added Tax)の一種で、日本の消費税に類似した税金です。
課税事業者は、「売上に係るGST」から「仕入に係るGST」を控除し、差額を税務当局に支払う、または、還付されることになります。
GSTは1994年4月1日に税率3%で導入されました。その後は、以下のとおり税率が上昇しており、2016年1月現在は7%です。
期間 |
税率 |
1994年4月1日から2002年12月31日まで |
3% |
2003年1月1日から2003年12月31日まで |
4% |
2004年1月1日から2007年6月30日まで |
5% |
2007年7月1日以降 |
7% |
各国同様、法人税の税率は下がる一方で、GSTの税率は上昇しており、税源が直接税から間接税へと移行しているのがわかります。
日本の消費税と比べた場合、シンガポールのGSTの特徴として下記が挙げられます。
1)課税事業者
シンガポールでは、年間の課税売上高が百万シンガポールドルを越える事業者が課税事業者となります。また、課税事業者とならない場合でも任意により課税事業者となることが可能です。課税事業者となる場合は、IRAS(税務当局)に登録が必要です。
シンガポールでは、IRASに登録をした課税事業者のみが顧客に対してGSTの請求をすることができます。課税事業者の登録をしていない事業者は顧客に対してGSTを請求することはできません。
2)インボイス方式
日本の消費税はアカウント方式を採用していますが、シンガポールではインボイス方式を採用しています。
課税事業者がタックス・インボイスを発行し、顧客は、これを証拠として仕入税額控除を取ることができます。仕入税額控除を受けることができる金額は、タックス・インボイスに記載されている税額となります。
日本の消費税のように簡易課税制度や仕入税額控除といった計算がないので、申告書の作成はとてもシンプルです。