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役員報酬を支払った場合の税務

2015.08.20

Taxation

Q 役員報酬の支払について、日本の居住者がシンガポール法人から役員報酬を受け取ったときの所得税の処理についてはどのように処理すれば良いのでしょうか?

A

1.まず、日星租税条約では役員報酬について下記のように定めています。

<日星租税条約第十六条>

一方の締約国の居住者が他方の締約国の居住者である法人の役員の資格で取得する役員報酬その他これに類する支払金に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。

シンガポール法人が日本居住者に役員報酬を支払うときは、シンガポールで課税され、20%を源泉徴収した残りの金額を送金します。

2.次に日本の居住者(非永住者以外の居住者)は所得税法5①、7①二において国の内外で生じた全ての所得が課税所得(全世界所得課税)となるとされています。 よって、シンガポール法人から受ける役員報酬も課税所得となり、所得税が課税されます。 シンガポールで源泉徴収された税金については外国税額控除を受けることができます。

 

一方で、シンガポール居住者が日本法人から役員報酬を受け取ったときはどうなのるのでしょうか。 上記と同様に日星租税条約に基づき、日本法人がシンガポール居住者に役員報酬を支払うときは、日本で課税され、20%を源泉徴収した残りの金額を送金します。

シンガポールではTerritorial system of taxationを採用しています。 個人所得税の課税範囲はシンガポール国内で生じた収益所得(Revenue Income)になります。 日本法人の役員報酬は、シンガポール国内で生じた収益所得には該当しないため、シンガポールでは個人所得税は課税されません。