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ATMに思う

2016.02.16

life in SG

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海外で働いているとちょっとしたことで気づかされることがあります。

先日、シンガポール暦8年の日系企業の社長さんとランチをご一緒したときのこと。日本とシンガポールの違いについての例えとしてATMが話題に上がり、なるほどと思いました。

日本のATMには出金・入金の両方の機能がありますが、シンガポールのATMには出金の機能しかありません。シンガポールで入金をしたい場合には、支店のATMコーナーに1台だけある入金用の機械で行います。

1つの機械でどんな取引でもできるのは、日本的なおもてなし思考なのかもしれません。

一方、多くの人にとって使用頻度の多い出金のみに対応するのは合理的なシンガポールらしいです。システムがシンプルになり、メンテナンスコストも安くなります。そのためでしょうか、いつ出金しても手数料はかかりません。利用者としては手数料がゼロなのはうれしい限りですし、入金ってほどんと使うことがないので、なくても困らないことに気づきました。

 

これまで日系企業はASEANを労働力の安い生産拠点として見ていましたが、成長が見込まれるマーケットと見方が変化しています。ASEANをマーケットとしてみるならば、現地の人の嗜好や行動特性を理解することが必要です。

例えば、ASEAN向けE-コマースを展開されている場合、日本語のウェブサイトを英訳(または現地語に翻訳)して物流・決済含めウェブサイトを完璧に作り上げてからローンチします。

現地の人からすると、日本のウェブサイトは文字が多くて見づらい、商品を買おうと思っても登録しなければいけない項目が多くて途中で嫌になった等の意見を聞きます。

また、日本ではE-コマースで通常取引されている商品でも、ASEANに持ってきた場合、日常品ではなく嗜好品、高級品にカテゴライズされるためE-コマースよりも対面販売のほうがふさわしい場合もあります。

完璧に作り上げたウェブサイトを作り直すのは、完成したものを壊さなければいけない心理的負担および作業工数等の物理的負担が生じます。典型的な日本人だと、壊したくない、で思考停止してしまうように思います。

シンガポール人はいい意味で日本人より大雑把で変化への順応性が高いと思います。最初から完璧を目指さず、少しローンチしてトライ&エラーを繰り返したほうが成功確立が高いように思います。

 海外をマーケットとして見ているのであれば、現地の人に合わせて柔軟に対応することが大切だと思います。