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シンガポール進出時の事業形態

2017.07.20

Company law/ 会社法

シンガポールで事業を開始する場合、以下のような事業形態があります。

1.個人事業主(Solo proprietorship)

 個人事業主とは、株式会社等の法人を設立せずに自ら事業を行っている個人をいいます。個人事業主になる場合は、事業登録法(Business Registration Act)32条に基づき、事業内容をACRAに登録しなければなりません。

2. パートナーシップ(Partnership)

 2人以上(法人も含む)が集まり営利を目的として共同事業を行うための団体です。パートナーシップは、Partnership Act 391条に基づき各パートナー間の契約・合意に基づき運営されます。

 パートナーシップのパートナーは全員がジェネラルパートナー(General Partner)で、無限責任を負います。

 税務上、パートナーシップはパススルーエンティティであり、それ自体には課税されない。利益は各パートナーの所得として課税されます。

3. 有限責任組合(Limited Partnership)

 パートナーシップとの違いは、最低1名のジェネラルパートナーが必要ですが、それ以外のパートナーは有限責任組合法163B条(Limited Partnership Act)に規定されている有限責任のリミテッドパートナーで良いという点になります。

 税務上はパートナーシップ同様パススルーエンティティであり、利益は各パートナーの所得として課税されます。

4.有限責任事業組合(Limited Liability Partnership、以下LLP)

  LLPとは、2人以上(法人も含む)のパートナーが営利を目的として共同事業を行うための事業組織です。上記のパートナーシップおよびリミテッドパートナーシップと異なり、LLPは事業のオーナーであるパートナー個人とは別の法人格を持つ組織です。事業を始める場合はLimited Liability Partnership Act 163A条に基づきACRAへの登記が必要となります。

 税務上はパートナーシップ、リミテッドパートナーシップ同様パススルーエンティティであり、利益は各パートナーの所得として課税されます。

 法律事務所や会計事務所など専門サービスに適した形態です。

5. 法人(Company)

法人とは、会社法50条(Company Act Cap50)に基づきACRAに登記される組織形態で以下のものがあります。

(1) 株式有限責任会社(Private Company)

 日系企業が現地法人を設立する場合は、この株式有限責任会社に該当します。

(2) 公開会社(Public Company)

(3) 無限責任会社(Unlimited Company)

(4) 外国会社(Foreign Company)

 日系企業がシンガポール支店を設立する場合は、この外国会社に該当します。

6. 駐在員事務所(Representative Office)

 駐在員事務所は、シンガポールに進出する際の最初形態として位置づけられています。営利企業の場合、駐在員事務所を設置できるのは3年間に限定されています。その後は、支店または現地法人に移行することが期待されています。

(金融機関や政府機関の駐在員事務所は3年を超えても駐在員事務所を継続することが可能です。)

 また、駐在員事務所は法人格を認められておらず、営業活動を行うことはできません。駐在員事務所として認められている活動は、市場調査、フィージビリティスタディ、日本との連絡業務に限られています。

駐在員事務所の登録はシンガポール国際企業庁(IE Singapore)が管轄しています。

 

(参考文献:Reference)

ACRA: https://www.acra.gov.sg/Home/

IE Singapore: https://www.iesingapore.gov.sg/